国土交通省 2022年度 概算要求

今回のWAT REPORTでは、国土交通省が財務省に提出した、2022年度の概算要求の主な内容についてお伝えします。

概要

今年も、財務省に各省庁から2022年度の概算要求が提出されました。新型コロナ関連費用が財政を圧迫する中、一般会計は社会保障費や新型コロナ対策で合計110兆円規模となり、過去最大を更新する見通しです。
国土交通省においては、災害対策や社会資本整備、新たなまちづくり等に取り組むほか、「脱炭素」「DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入」といった新しい課題を推し進めるための費用も要求しています。

今年提出した概算要求は、前年度比17.6%増の6兆9,348億円

「令和4年度 予算概算要求概要」によれば、国土交通省の今年の予算要求額は、6兆9,348億円となりました。追加予算を前提とした昨年分を除き、2015年度分から7年連続で6兆円を超えました。前年度の予算額に対して1.18倍の金額を要求しており、ほぼ例年並みの要求となりました。

1_一般会計要求総額
参考|国土交通省「平成21年度 – 令和3年度概算要求
重点的に取り組むテーマに設けられる特別枠、「新たな成長推進枠」は、振り分けられる予算を最大限に活用する方針で、2050年を目標とするカーボンニュートラル、脱炭素社会に向けたエネルギー・資源政策などに重点的に注力する考えです。要求総額のうち1兆5,989億円がこの枠に当たります。

2_公共事業費要求総額
参考|国土交通省「平成21年度 – 令和3年度概算要求
公共事業費は6兆2,492億円(前年度予算比1.19倍)が計上されました。これも例年と同じ、前年度予算比1.19倍程度の要求額となっており、防災・減災や
また、当年は「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の2年目に当たり、5年間で国全体が15兆円、国土交通省では9.4兆円程度の予算を確保する見通しです。この経費およびコロナ対策の関係費用は、今後の予算編成でも別途要求するとしています。

東日本大震災復興特別会計は、「第2期復興・創生期間」となり380億円に

今期の東日本大震災復興特別会計では、前年比0.95倍と、ほぼ同水準の380億円が要求されました。過去には2012年の1兆1,098億円を最大として、4年ほどは平均的に7-8億円前後を要求していましたが、震災発生から10年、ハード面の復興にはめどがつき、2021年3月には「第1期復興・創生期間」が終了。21~25年度までは「第2期復興・創生期間」と位置付けられ、災害公営住宅や道路の整備、追悼・祈念施設の整備、復興まちづくりや観光関連事業への支援等に取り組むとしました。

3_東日本復興事業費
参考|国土交通省「平成21年度 – 令和3年度概算要求

令和4年度概算要求 三本柱と要求額は

2022年度分の要求内容は大きく分けて「災害対策・インフラ老朽化更新」「経済政策にまつわるインフラ整備や技術開発・働き方改革等」「まちづくり・地方の活性化」の3つの柱に分類されました。

国民の安心安全の確保
集中豪雨や噴火、大地震などの「大規模自然災害からの復旧費用のほか、社会資本整備やインフラ老朽化対策など、生活を支えるインフラ関連の費用を要求しました。2年目を迎える「防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策」大規模災害対策や、河川の流域全体で治水対策をする流域治水等を推進します。

主な要求内容(一部抜粋)
東日本大震災からの復興・再生 380億円
被災地の住まい再建・復興まちづくり、インフラ整備、観光関連事業等、「第2期復興・創生期間」として復興をより総合的に支援する
あらゆる関係者により流域全体で行う「流域治水」の本格的な展開 5,401億円

(1.07倍)

気候変動で水害リスクが高まっており、「流域治水」の考え方に基づき、堤防整備、ダム建設・再生などの治水対策を加速する
集中豪雨や火山噴火等に対応した土砂災害対策の加速化・強化 1,028億円

(1.08倍)

集中豪雨や火山の噴火等で起きる土砂災害の事前対策を進める
南海トラフ大地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策等の推進 2,028億円

(1.22倍)

切迫する大規模地震に備え、想定される被害特性に合わせた実効性のある対策を推進する
災害時における人流・物流の確保 5,771億円

(1.52倍)

市街発生時であっても輸送ルートが確保されるよう、啓開体制を構築する。地震、豪雨、豪雪等を想定し、防災対策を推進する
インフラ老朽化対策等による持続的なインフラメンテナンスの実現 8,350億円

(1.20倍)

「インフラ長寿命化計画(行動計画)に基づき、老朽化対策等で持続可能なインフラメンテナンスの実現に向けた取組を推進する。
地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援(防災・安全交付金) 1兆0,291億円

(1.21倍)

地方公共団体等の風水害・土砂災害や大規模地震、津波に対する防災・減災、老朽化対策などを支援する。

(表のカッコ内は前年度予算比)


社会経済活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大

コロナ収束後の経済回復を見込み、戦略的な社会資本整備に取り組むための費用を要求しました。グリーン化、DX(デジタルトランスフォーメーション化)や技術開発を推進するほか、人材の確保・育成のための「i-Constructionの推進」「建設キャリアアップシステムの普及」「週休2日制」の実現や、PPP/PFIの推進、インフラシステムの海外展開など、経済の加速化を図ります。

主な要求内容(一部抜粋)
効果的な物流ネットワークの強化 4,329億円

(1.22倍)

大都市圏環状道路等の整備やピンポイント渋滞対策等を推進し、交通渋滞の緩和などで、競争力の高い
物流ネットワークの実現を図る
成長の基盤となる社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金) 7,441億円

(1.18倍)

民間投資・需要を喚起する道路整備やPPP/PFIを活用した下水道事業や、地域経済を支える基幹産業の
国内回帰・サプライチェーンの強靱化等、地方公共団体の取組みを総合支援する
ZEH・ZEBの普及や木材活用、ストックの省エネ化など住宅・建築物の省エネ対策の強化 1,384億円

(1.36倍)

カーボンニュートラルの実現に向け、住宅・建築物の省エネ、再エネ利用を推進する
デジタルトランスフォーメオション(DX)の推進 70億円

(1.80倍)

コロナ後に向けて、DXの加速化を図る
・社会資本の整備・維持管理等のデジタル化・スマート化
・交通、物流分野の非接触化・リモート化 などを推進する
オープンデータ・イノベーション等によるi-constructionの推進 12億円

(1.33倍)

官民の保有する3次元データや新技術の活用拡大、現場導入、地方公共団体への普及等をし、
i-constructionを推進する
建設業、運輸業、海運・造船業、宿泊・観光業における人材確保・育成 38億円

(1.04倍)

技能人材の確保・育成や生産性向上を目的とし、適切な賃金設定等の処遇改善、教育訓練や外国人活用促進等、働き方改革を官民一体で推進する
PPP/PFIの推進 504億円

(1.15倍)

民間の資金・ノウハウを活用した多様なPPP/PFIで、良質な行政サービスを提供すると共に、
民間の事業機会を創出する

(表のカッコ内は前年度予算比)

このほか、「2050年カーボンニュートラル等グリーン社会の実現に向けた施策の展開」として、環境対策に重きを置いた施策にも予算を要求。特に、ZEH・ZEBの普及や木材活用、ストックの省エネ化(1,384億円、1.36倍)、グリーンインフラの推進(204億円、1.94倍)、カーボンニュートラルポート等の港湾・開示分野におけるグリーン化の推進(682億円、1.77億円)、航空分野における脱炭素化の推進(36億円、2.05億円)など、国際的な課題である環境問題にも取り組んでいきます。

 

豊かで活力ある地方づくりと分散型の国づくり
「二拠点居住」「ワーケーション」にも対応できるような分散型の国づくりに向けて、歩いて暮らせるまちづくりや「コンパクト・プラス・ネットワーク」の推進、「スマートシティ」「次世代モビリティ」の社会実装を加速したいとしました。また、既存住宅流通やリフォーム市場の活性化、所有者不明土地対策、バリアフリー社会の形成等の社会課題に取り組むための予算を要求しました。

主な要求内容(一部抜粋)
コンパクトで歩いて暮らせるゆとりとにぎわいのあるまちづくりの推進 1,663億円

(2.12倍)

地域の生活機能の誘導・集約や防災方針を軸に、事前防災を推進し、多様な働き方・暮らし方を実現する
コンパクトなまちづくりを行う
地域・拠点の連携を促す道路ネットワークの整備 5,319億円

(1.24倍)

分散型の国づくりへの転換を図るため、地域・拠点をつなぐ道路ネットワークを整備する
豊かな暮らしを支える社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金) 7,441億円

(1.18倍)

コンパクト・プラス・ネットワークの推進や、誰もが暮らしやすく豊かな生活を実感できる地域づくり、
徒歩圏内で暮らせるまちづくりなど、地方公共団体等の取組を総合的に支援する

(表のカッコ内は前年度予算比)

まとめ

2022年度分の概算要求の総額は、前年の1.18倍と、例年並みの水準となりました。災害対策や経済発展を支えるインフラ整備、まちづくり等の重要事項に対し、手堅く予算を確保していく構えです。脱炭素やDX(デジタルトランスフォーメーション)など、新たな課題に対応する予算も増加しています。特別枠も最大限に利用した上で、コロナ対策費や「防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策」にどれほど予算を上積みできるのか、注目が集まります。

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