設備工事業の受注高・手持ち工事高・施工高 (令和3年度/2021年度 第1四半期)

今回のWAT REPORTでは、国土交通省が公表した「設備工事業に係る受注高調査(2021年4~6月)」をもとに、2021年度の設備工事業の受注高や内訳等をレポートしています。

2021年度第1四半期(4~6月期)の設備工事業の受注高は

国土交通省の「設備工事業に係る受注高調査」では、「電気工事業」「管工事業」「計装甲事業」の受注高を把握することを目的に、日本電設工業協会の主催20社、日本空調衛生工事業協会の主要20社、日本軽装工事業協会の主要20社の受注に関する調査結果を取りまとめています。第1四半期(4~6月期)の設備工事業の受注高は、次の通りです。

4月の設備工事業の受注高(速報)

合計 2,742億63百万円(0.5%増)

うち元請け工事 1,216億97百万円

下請け工事 1,525億67百万円

民間工事 2,512億73百万円(0.5%増)(うち元請け1,100億80百万円)

官公庁工事 229億90百万円(0.8%増)(うち元請け 116億17百万円)

5月の設備工事業の受注高(速報)

合計 2,096億76百万円(0.2%増)

うち元請け工事 896億30百万円

下請け工事 1,200億46百万円

民間工事 1,951億14百万円(1.2%増)(うち元請け826億73百万円)

官公庁工事 145億62百万円(10.7%減)(うち元請け 69億57百万円)

6月の設備工事業の受注高(速報)

合計 2,981億56百万円(0.5%減)

うち元請け工事 1,394億17百万円

下請け工事 1,587億39百万円

民間工事 2,743億63百万円(3.0%増)(うち元請け1,234億59百万円)

官公庁工事 237億94百万円(28.4%減)(うち元請け 159億58百万円)

 

2021年は4、5、6月とも前年同期とほぼ同水準。下げ止まったか

まず設備工事業の受注高を年単位の推移で見ると、2010年以降、民間工事を中心として受注高が増加傾向にあったことがわかります。しかし、2020年には新型コロナの影響を受けて減少。特に、需要の多くを占める民間工事で受注高が約1割減り、2020年度は3兆1,700億円と落ち込みました。
1_設備工事業の受注高年計
参考|国土交通省「設備工事業に係る受注高調査

続く2021年度第1四半期(4~6月期)の設備工事業の受注高を増減率と共に見ていきます。4月が0.5%増、5月が0.2%増、6月が0.5%減と、前年同期とほぼ同水準でした。20年の第1四半期5月には21.2%減と大幅に下るなど、新型コロナの影響市況の落ち込みに影響を受けましたが、現状では下げ止まったと見られます。
ただし、設備工事業は民間需要が多いことから、短期的な受注減に加え、経済の失速による長期的な悪影響が心配されています。
2_過去1年間の受注高の推移
参考|国土交通省「設備工事業に係る受注高調査

管工事の受注高は6月に20.9%増

続いて、第1四半期の受注高を工事ごとに見ていきます。管工事の受注高は新型コロナの影響を受けた前年同期とほぼ同じ水準だったものの、6月にはプラスに転じ、コロナ前の水準に戻りました。4月には6.5%減、5月には1.5%減、6月には20.9%増でした。民間・公共ともにプラスに転じています。
4_管工事業の受注高推移
参考|国土交通省「設備工事業に係る受注高調査

4月の管工事の受注高(速報)

合計 1,133億26百万円(6.5%減)

うち元請け工事 455億89百万円

下請け工事 677億37百万円

民間工事 1,041億54百万円(6.5%減)(うち元請け420億06百万円)

官公庁工事 91億72百万円(6.8%減)(うち元請け 35億83百万円)

5月の管工事の受注高(速報)

合計 878億76百万円(1.5%減)

うち元請け工事 347億09百万円

下請け工事 531億68百万円

民間工事 806億54百万円(4.5%減)(うち元請け316億18百万円)

官公庁工事 72億19百万円(51.2%増)(うち元請け 30億91百万円)

6月の管工事の受注高(速報)

合計 1,432億43百万円(20.9%増)

うち元請け工事 653億49百万円

下請け工事 778億94百万円

民間工事 1,296億78百万円(19.6%増)(うち元請け563億22百万円)

官公庁工事 135億65百万円(35.0%増)(うち元請け 90億27百万円)

電気工事の受注高はコロナ前の水準に届きつつある

第1四半期における電気工事の受注高をみると、2020年度には前年同期比で減少が続きました(ただし3月に急落しているのは急増した前年の反動減)。一方、今年度に21年度第1四半期には、4月が14.5%増、5月が12.0%増、6月が3.7%減となり、期末にやや落ちたとはいえ、今期はコロナ前と同程度の水準まで戻ってきたと言えます。
5_電気工事の受注高推移
参考|国土交通省「設備工事業に係る受注高調査

4月の電気工事の受注高(速報)

合計 1,545億65百万円(14.2%増)

うち元請け工事 737億34百万円

下請け工事 808億31百万円

民間工事 1,412億05百万円(13.4%増)(うち元請け658億56百万円)

官公庁工事 133億60百万円(0.8%増)(うち元請け 78億78百万円)

5月の電気工事の受注高(速報)

合計 1,167億86百万円(12.0%増)

うち元請け工事 526億82百万円

下請け工事 1,200億46百万円

民間工事 1,098億81百万円(16.9%増)(うち元請490億79百万円)

官公庁工事 69億05百万円(32.9%減)(うち元請け 36億02百万円)

6月の電気工事の受注高(速報)

合計 1,492億18百万円(3.7%減)

うち元請け工事 715億15百万円

下請け工事 777億02百万円

民間工事 1392億92百万円(3.9%増)(うち元請け646億87百万円)

官公庁工事 99億27百万円(52.7%減)(うち元請け 68億28百万円)

計装工事の第1四半期受注高はコロナ前とほぼ同じ水準まで回復

第1四半期における計装工事の受注高推移を見ると、4月は10.4%増、5月は0.9%増、6月は17.1%減でした。受注高はコロナ以前とほとんど同じ水準か、それよりも増えている月もあり、20年度にはややマイナスが目立ったものの、全般的には好調です(計装工事は市場規模が小さく、増減率の変動が大きくなりやすいため、考慮が必要)。
6_計装工事の受注高推移
参考|国土交通省「設備工事業に係る受注高調査

4月の計装工事業の受注高(速報)

合計 329億09百万円(10.4%増)

うち元請け工事 131億86百万円

下請け工事 197億23百万円

民間工事 284億40百万円(8.7%増)(うち元請け114億23百万円)

官公庁工事 44億69百万円(21.9%増)(うち元請け 17億63百万円)

5月の計装工事業の受注高(速報)

合計 255億89百万円(0.9%増)

うち元請け工事 99億88百万円

下請け工事 156億00百万円

民間工事 230億19百万円(1.2%増)(うち元請け87億55百万円)

官公庁工事 25億69百万円(1.0%減)(うち元請け 12億33百万円)

6月の計装工事業の受注高(速報)

合計 335億60百万円(17.1%減)

うち元請け工事 160億61百万円

下請け工事 174億99百万円

民間工事 297億67百万円(21.1%減)(うち元請け137億48百万円)

官公庁工事 37億93百万円(36.3%増)(うち元請け 23億13百万円)

各工事の手持ち工事高は

「設備工事業に係る受注高調査(2021年4~6月)」では、受注高のデータより1カ月遅れで手持ち工事高に関するデータを公表しています。手持ち工事高とは、契約した工事のうち、まだ完了しておらず、将来の売り上げ(出来高)になる工事の金額です。

設備工事業における管工事の手持ち工事高は、2020年1~3月に一旦減少しましたが、その後工事が積み上がり、21年1~3月にはほぼ2年前の水準に回復しました。直近に公表された手持ち工事高は、1兆2,877億72百万円(前年同期比10.5%増)です。
8_管工事業の手持ち工事高
参考|国土交通省「設備工事業に係る受注高調査

電気工事分野の手持ち工事高は、2021年1~3月に1兆0,190億43百万円でした。20年以降、4期連続で前年同期比減となっており、現状では19年よりも1,000億円程度少なくなっていますが、それほど大きく落ち込んではいないと読み取れます。
8_電気工事業の手持ち工事高
参考|国土交通省「設備工事業に係る受注高調査

計装工事関係の手持ち工事高は、最近の傾向を見ると新型コロナ流行前の2019年7~6月期から減少しており、今期には1,000億円を下回る785億12百万円(17.8%減)まで落ち込みました。今期は特に減少幅が大きく、合計金額が1,000億円を割り込みました。
8_計装工事業の手持ち工事高
参考|国土交通省「設備工事業に係る受注高調査

まとめ

設備工事業の受注高は、新型コロナの影響等で減少していましたが、前期で一旦下げ止まり、今期にはコロナ前の水準に戻りつつあるようです。
一方、手持ち工事高については、管工事が過去2年間あまり変わらない水準で維持しているのに対し、電気や計装工事は今期落ち込みが目立った印象です。
現在、首都圏では受注競争が過熱しており、建築物向けの工事が多い設備工事業では、不安定感が拭えない状況と言えます。コロナ禍のあおりで市況が長期的に悪化する可能性もあります。

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