建設業・大手ゼネコン50社の受注高(2021年7~9月)

建設受注

今回のWAT REPORTでは、国土交通省が公表した「建設工事受注動態統計調査(2021年7~9月)」の受注高データから、直近の建設業・ゼネコン大手50社の動向をお伝えします。

国土交通省の「建設工事受注動態統計調査」は、前々年度の完成工事高が1億円以上の業者のうち、1万2,000業者を抽出し、返送された調査票をもとに、月々の受注高や工事に関するデータを取りまとめています。

※2021年4月より、調査の推計方法に変更がありました。未回答の建設許可業者の欠損値について、行政記録情報(経営事項審査)を活用して補完した後、経済センサスとの照合結果を踏まえたウェイトの調整により補完し、母集団の推定値を算出しています。(大手ゼネコン50社の受注高については、業者を有意に抽出しているため無関係です)。このレポートでは、グラフ・本文ともに2021年以降の受注高と比率が新データ、2020年の受注高と比率は旧データになります。

2021年7~9月の建設受注と前年同月比

7月の受注高(確報)

総計 8兆9,965億82百万円(前年同期比5.0%増)

元請け工事 6兆0,048億35百万円 (5.7%増)

(土木:2兆3,044億86百万円、22.3%減)

(建築工事・建築設備工事:5兆8,616億56百万円、20.7%増)

(機械装置等工事:8,304億40百万円、11.4%増)

下請け工事 2兆9,917億47百万円

民間工事  4兆0502億47百万円 (17.1%増)

公共工事 1兆9545億89百万円 (12.0%減)

8月の受注高(確報)

総計 7兆6,615億24百万円(前年同期比2.8%減)

元請け工事 5兆0,581億83百万円(2.3%減)

・土木(2兆3,044億86百万円、8.0%減)

・建築工事・建築設備工事(4兆7,561億91百万円、1.0%増)

・機械装置等工事(8,021億75百万円、9.8%減)

下請け工事 2兆6,033億42百万円

民間工事 3兆4,266億99百万円 (1.7%減)

公共工事 1兆6,314億83百万円 (3.5%減)

9月の受注高(確報)

総計 10兆4,201億36百万円(前年同月比2.2%増)

元請け工事 7兆3,358億17百万円(7.3%増)

・土木(2兆7,546億15百万円、13.2%減)

・建築工事・建築設備工事(6兆6,425億60百万円、10.4%増)

・機械装置等工事(1兆0,229億60百万円、1.9%増)

下請け工事 3兆0843億19百万円

民間工事 5兆2,548億57百万円 (21.0%増)

公共工事 2兆0,809億60百万円 (16.6%減)

「建設工事受注動態統計調査」によると、建設受注の総計は、7月に8兆9,965億82百万円(前年同期比5.0%増)となり、前年同月比で民間工事が伸び、公共工事が減少しました。

一方、8月の建設受注は総計が7兆6,615億24百万円(2.8%減)で、この月は民間・公共工事ともに昨年と近い水準でした。9月は総計10兆4,201億36百万円(2.2%増)で、同じく前年と近い推移でした。4~6月には前年を上回る回復が期待されましたが、7~9月の動きを見ると、前年並みの水準に戻っており、また公共工事は落ち込み、民間工事は若干伸びている傾向が見えます。

前年から上向いたとは言いづらい2021年7~9月の建設受注

21年7~9月の建設受注の推移は、2021年4月から推計方法が変更されたため、棒グラフの面積で単純比較はできませんが、新データで推計し直した2020年の実績と比較すると、7月は8兆9,965億82百万円(前年同月比5.0%増)、8月は7兆6,615億24百万円(2.8%減)、9月は10兆4,201億36百万円(2.2%増)となっており、コロナ禍で低い水準だった20年から上向いたとまでは言えない結果です。
1) 建設業における受注高の推移参考|国土交通省「建設工事受注動態統計調査 確報

工事種別では土木工事の受注高が減少、建築工事・建築設備工事は増加

工事種類別に前年同月比を折れ線グラフにすると、青い線の土木工事で受注高の減少が大きく、7月から前年同月比22.3%減、8.0%減、13.2%減となっています。
一方、オレンジの建築工事・建築設備工事の受注高は、7月から20.7%増、1.0%増、10.4%増と増えており、土木工事の落ち込みをカバーしています。グレーの機械設置等工事の受注高は11.4%増、9.8%減、1.9%増であり、均すと前年並みといえます。
2) 建設業における工事種別受注高の推移
参考|国土交通省「建設工事受注動態統計調査 確報

大手50社7~9月の建設受注、民間工事は上振れ、公共工事は減少傾向

次に、「建設工事受注動態統計調査」の「大手50社」から受注高の動きをレポートします。

この調査は、完成工事高が比較的大きい建設業者の中から、国交大臣の指定した50社が受注した建設工事(国内外で施工される建設工事)について、報告しています。

ゼネコン大手50社の7月の受注高

総計 8,924億88百万円 (前年同月比3.4%減)

(建築:6,069億43百万円、6.4%増、土木:2,855億45百万円、19.3%減)

・国内:8,873億59百万円

・海外:51億29百万円

民間工事 6,244億15百万円(6.4%増)

・製造業 2,042億35百万円 (25.9%増)

・非製造業 4,201億80百万円 (1.1%減)

公共工事 2,324億19百万円 (13.1%減)

ゼネコン大手50社の8月の受注高

総計 8,765億69百万円 (前年同月比2.0%減)

(建築:6,285億01百万円、6.3%増 土木:2,480億68百万円、18.2%減)

・国内:8,733億27百万円

・海外:32億42百万円

民間工事 6,304億40百万円 (4.7%減)

・製造業 2,155億88百万円 (108.9%増)

・非製造業 4,148億53百万円 (25.7%減)

公共工事 2058億55百万円 (9.6%増)

ゼネコン大手50社9月の受注高

総計 1兆5,826億32百万円 (前年同月比27.3%増)

(建築:1兆1,984億10百万円、43.9%増 土木:3,842億22百万円、6.3%減)

・国内:1兆5,647億65百万円

・海外:178億67百万円

民間工事 1兆2,449億06百万円 (43.4%増)

・製造業 1,698億48百万円(20.9%減)

・非製造業 1兆0,750億58百万円 (64.5%増)

公共工事 2,779億68百万円 (14.1%減)

「大手50社」の調査によると、ゼネコン大手50社の7月の受注高総計は8,924億88百万円 (前年同月比3.4%減)でした。公共工事の受注高が伸びず(13.1%減)、民間工事は6.4%増でした。8月の受注高総計は8,765億69百万円(2.0%減)で、民間・公共ともに若干伸びました。9月の受注高総計は1兆5,826億32百万円(前年同月比27.3%増)で、民間工事の受注高が43.4%と大幅に増えたのに比べ、公共工事は14.1%減でした。

7~9月を通して見ると、民間工事の受注高は前年より上振れしており、9月には民間受注がけん引し、受注高が大幅に増加しました。製造業・非製造業とも民間工事が活発になっている一方、公共工事は土木が低調で、受注高の減少傾向が強まりました。

3) 大手ゼネコン50社における受注高の推移
参考|国土交通省「建設工事受注動態統計調査 大手50社
次に、大手ゼネコン50社の工事種別に増減率を折れ線グラフにすると、青の土木工事は減少が続き、前年同月比19.3%減、18.2%減、6.3%減となりました。オレンジの建築工事の受注は伸びており、7月から6.4%増、6.3%増、43.9%増と好調でした。建設業全体とほぼ同じ傾向でした。
4) 大手ゼネコン50社における工事種別受注高の増減率
参考|国土交通省「建設工事受注動態統計調査 大手50社

大手ゼネコンの手持ち工事は前年から約2.5カ月分積み増し

「建設工事受注動態統計調査」では、大手ゼネコンの手持ち工事月数が受注高の1カ月遅れで公表されます。6月の手持ち工事月数は16.5カ月(前年同月比18.7%増)、7月は16.7カ月(19.3%増)、8月は16.6ヶ月(17.5%増)と、すべての月で手持ち工事が積み増しされました。低水準だった前年と比べ、2.5カ月程度増加しています。
6) 大手ゼネコンの手持ち工事月数の推移
参考|国土交通省「建設工事受注動態統計調査 大手50社

まとめ

2021年の建設受注は、業界全体で低水準だった2020年7~9月期と大きく変わらず、回復の兆しが見えた4~9月に比べると厳しい状況でした。民間工事では回復の兆しが見えたものの、公共工事が減少しており、トータルでは微増にとどまりました。

大手ゼネコンにおいては、9月に民間工事の受注高が増加し、製造業・非製造業とも、比較的活発な受注活動が行われたようです。ただ、民間の7、8月とも手持ち工事月数は増加したにもかかわらず、受注高は減少しており、受注時採算の低下が起きていると推測されます。今後の状況に注目したいところです。

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