建設業界の給与とボーナス(令和2年)

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今回のWAT REPORTでは、建設業の給与や賞与について、厚生労働省の「賃金構造基本統計(令和2年分)」「毎月勤労統計調査(令和2年分)」、一般社団法人日本経済団体連合会の「2020年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果」を資料としてまとめました。

建設業の給与平均は月41.7万、残業時間は13時間で長め

昨今では、労働時間の長すぎる仕事は敬遠されがちです。建設業界はきつい屋外労働のイメージもあってか、労働力の確保に泣かされている会社も多く存在しています。では、他産業と比較して、建設業の時間外労働はどれほどあるのでしょうか。厚生労働省による「毎月勤労統計調査」から具体的な数字を抜き出してみました。

「毎月勤労統計調査」では、従業員500人以上のすべての事業所と、ローテーションで入れ替わり抽出される従業員5~29人の事業所、30~499人の事業所の人事・給与関連のデータを定点観測をしており、調査票の提出率は8割程度です。

③-3 建設業の時間外労働時間と給与

厚生労働省|「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):結果の概要」 及び
厚生労働省|「毎月勤労統計調査(全国調査・地方調査):過去の結果の概要」 を基に作成

令和2年の平均給与額では、建設業界全体の平均給与は41.7万円で、調査産業計よりも10万円あまり高く、製造業の平均より約4万円高いことがわかります。
また、製造業の時間外労働時間は、建設業より約1.5時間少ないものの、11.9時間とやや多め。建設業の方が時間外労働時間が多くても、賃金の平均はさらに高いため、単純に、時間外労働時間と給与の比較であれば、建設業の方が労働時間が少なく、給与が高いことになります。ただ、全体から見れば13.5時間の平均時間外労働時間は長めです。

大手ゼネコンの冬のボーナスは業界比較で最高額

次に、経団連が発表した、会員企業(大手企業)の2020年冬のボーナス一覧を見てみましょう。この調査は、20年の12月22日に公表されたもので、前年の最終集計に比べ9.02%減の86万5,621円となりました。減少は8年ぶりのことで、コロナ禍を反映したリーマン・ショック翌年以来の下げ幅でした。

①-1 業界別・冬のボーナス額(高かった順)

参考|(一社)日本経済団体連合会 「2020年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)」

建設業界は、公表された22業界の中で、9番目に減額率が大きく、大手7社の社員1人あたり平均144万4,042万円となりました。ただ、表を見てもわかる通り、大手ゼネコン社員のボーナスは、2番目に賞与の多い食品業界を50万円以上引き離し、独走状態であることから、一概に業績が悪化したためとは言えません。むしろ、今後起こるであろう設備投資の縮小に備え、引き締めを行なったとも読み取れます。

ちなみに、先ほどの「毎月勤労統計(2021年2月)」によると、建設業で5人以上が勤務する事業所の冬のボーナスは、一人当たりの平均で、前年比6.9%減の45万9,895円でした。大手企業と同じく、コロナ禍の影響で賞与が減少しています。

建設業界の賃金ピークは50代後半、年功序列が残る

次に、厚生労働省の「賃金構造基本統計」から作成したグラフで、建設業界全体の賃金カーブを、製造業と比較しながら年齢別に見てみましょう。
グラフでは、建設業は、製造業よりもやや高い水準で推移し、ピークは55-59歳の427.2万円であることがわかります。IT系など、ベンチャー企業の多い業界では、30代、40代に賃金が高いケースも見られますが、建設業に関しては、年齢とともに賃金が上がっていく、年功序列型の昇給制度でが根強いことが見て取れます。

②-1 建設業と製造業の年齢別賃金

参考|厚生労働省 「令和2年賃金構造基本統計調査 結果の概況/結果の概要/産業別」 より作成

賃金水準としては、製造業よりも10万円程度高く、その後の年齢においては50万円以上の下落はあるものの、60歳を過ぎても賃金の下がり方は製造ほど急ではありません。これは、建設業において高齢でも現役で働き続ける技能者・技術者の多さが関係しているとみられます。
特に、施工管理技士などの資格保持者はボリューム層が高齢であり、人手不足も手伝って、一線で働き続けている人が多くいます。若手の減少を見越して、早々に定年制を廃止した建設会社もあり、資格者の大量退職を避け、長く働き続けてもらおうとする措置が、60代を過ぎてからの建設業労働者の賃金を押し上げている可能性もあります。

建設業の平均給与は2018年に40万円を突破

東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まって以降、東京を中心に都市の再開発が活性化しました。建設業の平均給与額も年々上昇傾向にあり、ゼネコンが好決算にわいた2018-19年には、平均給与が40万円を突破しています。公共工事の設計労務単価も年々上昇傾向であり、待遇改善に向けた努力が現れています。

グラフは、厚生労働省の「賃金構造基本統計」をもとにした、産業別の月給平均の年次推移で、正社員・パート労働者を合わせた金額です。
建設業の2006年の平均月給は、調査産業の平均に近く、投資額が縮小を続けていた12年ごろまでは横ばいでした。その後、緩やかに平均との差が開き始め、18年には40万円を突破、2020年には平均よりも10万円ほど給与が高くなりました。建設業全体では41万7,398円(前年比0.3%増)、正社員に限ると、43万4,293円(前年比0.3%増)となります。

このほか、情報通信業・製造業は過去2年で平均給与が下がっていますが、建設業では微増しています。「3K」と言われ、人手不足が続いている建設業界ですが、給与面においては、魅力がないわけではないのです。

③-1 建設業の月給

参考|厚生労働省 「毎月勤労統計調査 令和2年分結果確報」

③-2 建設業の月給

参考|厚生労働省 「毎月勤労統計調査 令和2年分結果確報」

まとめ

現在、建設業においては新卒の採用強化により、若手重視で給与面での待遇改善が推進されています。ただし、構造的には30~40代の中堅社員が少なく、50~60代社員が多いといういびつな年齢構成が問題になっており、人数が少なく負担の大きい中堅世代の離職を防止するという観点から、年功序列を緩め、中堅世代の給与を高くすべきではないかという議論もされています。

 

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