建設資材価格(建設資材物価指数)と建築費の上昇

建設資材

今回のWAT REPORTでは、建設物価調査会による「建設資材物価指数」「建築費指数」をもとに、国内の建設業における資材価格についてレポートします。

概要
近年、原材料や燃料、輸送量などのコスト増により、建設資材価格は上昇を続けています。2021年には、コロナ禍からの回復により、海外の建設需要が急増し、資材価格の高騰に拍車がかかりました。建築費も上昇していることから、発注者側に価格の再見積もりを依頼する動きもあります。

️建築・土木分野とも建設資材物価指数は急上昇

建設物価調査会が発表している「建設資材物価指数」は、建設工事で使用される資材の総合的な価格動向を明らかにするものです。メーカー、問屋、特約店等に大口需要者向けの渡し価格を調査し、2011年の価格を100として、指数化しています。

①建設資材物価指数 品目別 総合(全国)_修正版引用|一般財団法人 建設物価調査会「建設資材物価指数グラフ

同法人による過去40年の建設資材物価指数を見ると、建設総合指数においては、建設投資が活況だった1990年代、92年1月の指数、104.1が一つのピークでした。その後、2004年に87.5(ピーク時比15.9%減)まで低下しましたが、円安の影響による輸入資材の高騰、震災復興・公共事業の増加等により継続的に上昇し、2010年代には、90年代を上回る水準で推移しました。

また、グラフの形を見ると、90年代においては建築部門の資材価格が物価の上昇を牽引していた一方で、2000年代には、建築・土木の両方で資材価格が上昇していることがわかります。

加えて2021年には、新型コロナウイルス感染拡大からの回復により、世界的に景気が拡大し建設需要が急増、建材不足により価格が高騰しました。これに燃料費の値上がりも影響し、同年9月には、建築総合指数は121.1(前年同月比10.7%増)に達しました。

②建設資材物価指数(全国平均)
参考|一般財団法人 建設物価調査会「建設資材物価指数

2021年9月の建設資材物価指数は、建設総合が121.1(前年同月比10.7%増)、建築部門が123.5(14.0%増)、土木部門が118.9(6.8%増)でした。3月には、土木部門が114.0、建築部門が110.3と土木部門の値上がりが先行していましたが、海外における資材需要の増加や燃料代の高騰などを要因とし、7月以降は建築部門を中心に価格の上昇が続いています。

鉄鋼関連資材で価格が大幅に上昇、杉角材や合板はウッドショックで急騰した

建設資材物価指数の推移を9月までの1年間で品目別に見ると、多くの資材で価格が上昇しています。特に「異形棒鋼」が143.7(前年同月比39.1%増)、「H形鋼」が133.5(37.8%増)、「鋼板切板」が137.3(33.3%増)、「熱延ステンレス板」が123.5(16.7%増)となっています。中国産鉄鋼材料の入手難や価格高騰が生じており、市場でも価格見直しの動きが相次ぎます。

一方、コンクリートは「生コンクリート18」117.9(2.8%増)、「生コンクリート21」117.5(2.8%増)と、前年と同水準ですが、セメント大手が製造用燃料の高騰や骨材・輸送費の増加を 理由に2022年以降の値上げを表明しており、価格下落はないと予想できます。木材は世界的な木材需要の逼迫による「ウッドショック」の影響で価格が急騰しており、「コンクリート型枠用合板」が139.1(28.2%増)、「杉角材(KD)」は203.1%(93.5%増)と値上がりしました。

また、道路舗装用資材の「ストレートアスファルト」106.0(48.3%増)も原油価格の高騰の影響で、価格改定が進んでいます。原油・鉄鉱石・アルミニウムなど、さまざまな原材料のコスト増を背景に、今後も値上がりは進むものと予想されます。

⑤品目別・建設資材物価指数_修正版
参考|一般財団法人 建設物価調査会「建設資材物価指数

⑥品目別・建設資材物価指数_修正版
参考|一般財団法人 建設物価調査会「建設資材物価指数

全国の都市の中で札幌の建設資材物価指数が127.9と最も上昇

2021年9月の都市別の建設資材物価指数を比べると、全国平均が121.1であるのに比べ、札幌が127.9と最も上昇率が高く、高松は123.9、大阪は123.0、仙台は122.7となっています。小さい順では新潟118.2、広島118.8、那覇119.1でした。

③都市別・建設資材物価指数(2021年9月)
参考|一般財団法人 建設物価調査会「建設資材物価指数

東京五輪後も建築費は高止まりが続く

建設物価調査会による「建築費指数」は、建物を建築する際の工事価格の変動を明らかにすることを目的としたもので、建築工事に関する一種の物価指数です。

建築工事費は近年上昇を続けており、特に2017年以降は強い上昇傾向を示しています。集合住宅においては、2021年9月120.8(前年同期比12.0%増)と、1年間で1割ほど上昇しました。

建築費値上がりの要因として、公共工事の労務単価の上昇や人手不足などが挙げられていますが、いずれも短期的に解決できるものではないため、資材価格と合わせてコスト増につながり、建設計画がストップするなどの懸念があります。

④-1建築費と建設資材物価指数
参考|一般財団法人 建設物価調査会「建築費指数

まとめ

資材価格・建築費の高騰が続き、ゼネコンの工事費に大きな影響が出ています。国が推進している国土強靭化政策では、一定の工事量が見込まれていることから、国交省や発注者に再見積もりを依頼するなどである程度の価格上乗せが可能ですが、大型工事が一巡している建築関連では、受注競争が激しさを増しており、施工者側のコスト削減や現場の合理化といった経営努力も必要になるでしょう。

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