雇用・人材

今回のWAT REPORTでは、厚生労働省の「労働力調査」「労働経済動向調査」と、国土交通省の「建設労働需給調査結果」を基に、年齢構成や求人倍率などから建設業の雇用・人材の特徴についてお伝えします。

建設業界の年齢構成でボリュームゾーンは40代、20代の約2.5倍

厚生労働省の「労働力調査」から建設業界で働いている人の年齢構成を調べると、40代をピークに山形になっており、学卒年齢の就業者が少ないことがわかります。

年代を5歳刻みに分けると、最も多い年齢層は中堅世代の45~49歳代の67万人、次に多いのがその上の世代である50~54歳代でした。

また、男女ともに65歳以上の労働者はどの年齢層よりも多数でした。

②-1 建設業界の年齢構成

参考|政府統計の総合窓口(e-Stat):労働力調査 2020年11月に基づき作成

逆に最も少ない年齢層は、中卒・高卒者が所属する15~19歳代(3万人)で特に少なく、次に専門学校や大学卒業者の年齢層に当たる20~24歳代の層でした。

10年毎の年代別に見ると、20代の就業者は54万人であるのに対し、30代はその約1.5倍の80万人、40代は約2.5倍の126万人、50代で約2倍の111万人、60歳以上で132万人となります。

建設業界で働く人の年齢構成は、40代以上に偏っており、50代で一度減少すること、65歳以上の労働力に大きな存在感があることが伺えます。

また、10代は少ないことから中学・高校卒業後すぐに建設業で働く若者はさほど多くないと推測できます。

建設業の正社員労働者の過不足感は、48ポイントの不足超過で上昇

厚生労働省による「労働経済動向調査」の11月の調査では、正社員労働者の過不足判断D.I(注:労働者数について、調査日現在の状況で「不足 (やや不足、大いに不足)」と回答した事業所の割合から、「過剰(やや過剰、大いに過剰)」 と答えた事業所の割合を差し引いた値)が、全産業計、建設業、製造業ともに上昇しました。

③-1 正社員等労働者の過不足判断D.I

参考|厚生労働省「労働経済動向調査(2020年11月)の概況」より作成

新型コロナ感染症拡大の影響で4月には緊急事態宣言が発出されたことなどの影響で、8月の調査では労働者の不足感が減少しましたが、11月には再び上昇しており、コロナ前の水準に戻りつつあります。

建設業においては、特に48ポイントの不足超過となっており、不足感が強い傾向があります。

11月の建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は5.32倍に上昇

厚生労働省の11月分の「労働力調査」によると、全国のハローワークにおける建築・土木・測量技術者の有効求人倍率は5.32倍(全職種の倍率は1.09倍)でした。有効求人数は5万8,311人に対し、有効求職者数は1万0,966人で、売り手市場となっています。就職件数は747件でした。

また、現場で身体を使って行う建設・採掘の職業の有効求人倍率は5.25倍で、有効求人数11万7,933人に対し、有効求職者数は2万2,451人でした。就職件数は2,518件で、こちらも売り手市場となっています。

全職種の募集人数は前年よりも縮小していますが、建設関連職に絞ってみると求人数はほぼ横ばいで、6月以降は2019年の平均よりも上振れしています。

④-4 建設業における雇用関連指標の比較参考|政府統計の総合窓口(e-Stat):一般職業紹介状況(職業安定業務統計)に基づき作成

建設業の求人数や有効求人倍率は、新型コロナ発生前後であまり変化がない

建設業においては、新型コロナの感染拡大前後で、求人数や有効求人倍率、求職者数はほぼ変化がなく、新規求人倍率(その月に新たに出された求人を新規求職者数で割ったもので、直近の景気を反映しやすい)は、コロナ禍により4月に減少しましたが、1ヵ月後には感染拡大前の水準まで回復しています。

④-1 建設関連の職業における求人数
参考|政府統計の総合窓口(e-Stat):一般職業紹介状況(職業安定業務統計)に基づき作成

④-3 建築・土木・測量技術者における求人倍率
参考|政府統計の総合窓口(e-Stat):一般職業紹介状況(職業安定業務統計)に基づき作成

一方、建設関連の職業の求職者については、技術者・現場職の両方で、有効求職者数は横ばいとなっています。新規求職申し込み件数は減少しました。

④-2 建築・土木・測量技術者における求職者数
参考|政府統計の総合窓口(e-Stat):一般職業紹介状況(職業安定業務統計)に基づき作成

現場の職人不足感はやわらぐ兆し

国土交通省の「建設労働需給調査」(2020年11月10日~20日の間の1日を調査対象日として集 計) によると、全て職種で職人の不足率がプラスとなり、8職種計で過不足率は0.9%でした。

特に不足しているのは配管工(不足率1.9%)、とび工(1.2%)で、過不足率が低かったのは、鉄筋工(土木)、鉄筋工(建築)でした。

対前年増減では、マイナス1ポイント以上の職種が多く、人手不足感は改善しているように見えます。前年に比べると、コロナ禍もあってか、過不足率はそれほど高くないようです。

⑤-1 職人の過剰・不足率

引用|国土交通省:建設労働需給調査結果(令和2年11月調査)

翌々月の確保に関する見通しは、普通の回答が66.2%で、前年同月よりも不足感がゆるんでいる様子です。2月にも、前年同月より困難と答える人が減り、普通と答える人が増えるなど、新型コロナで労働時間が減った影響が出ているとも考えられます。

⑤-3 今後の労働者の確保に対する見通し
引用|国土交通省:建設労働需給調査結果(令和2年11月調査)

まとめ

ここまでの調査で、建設業においては、コロナ禍においても求人数・求人倍率については前年なみに推移しており、新規求人倍率も回復基調であるなど、他産業よりも人材採用に積極的であることがわかりました。65歳以上の働き手が多いことから、これからの産業を安定させるためにも、他産業から流入する人材を含め、確保・育成に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。

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