今回のWAT REPORTでは、国土交通省の報道発表資料および一般財団法人全国建設研修センター、同建設業振興基金の発表をもとに、施工管理技士の令和元年度資格試験における合格者数と合格率についてまとめています。
目次
令和元年度 施工管理技術検定をめぐる動き
・新資格の創設
令和元年度の試験から電気通信工事の施工管理技術検定が新設されました。今回の合格発表で、初めての電気通信工事施工管理技士が誕生しました。 |
・20年が現行の試験制度では最終年度となる
現行の試験制度は20年度が最終となります。 21年度からは、1次検定の合格者が「技士補」となるのに伴い、出題方法が変わるため、現行の試験制度の駆け込み受験も増えると見られます。 |
・実務経験の提出方法を見直しか
受験者が実務経験を不正に申告して資格を取得していたケースが相次いで発覚しています。 国土交通省は、算定ミスを防ぐための仕組みや、実務経験の重複が確認できる電子申請の導入などで、2021年度から本腰を入れるとしています。 |
・女性の受検者数と合格者数が増加
過去数年で、女性の受検者数が増加しました。合格率も高く、今後は現場で女性の監理技術者や専任・主任技術者が増えていくことが予想できます。 |
1、2級 建築施工管理技士の合格者数と合格率の推移
令和元年度の1級建築施工管理技士の受験者数は1万5876人。合格率は46.5%と前年より約10%上昇し、合格者は7278人となりました。これは過去10年間で2番目に高い水準です。2級は2万2663人となりました。
2級は横ばいで、合格率は合計27.1%、合格者数は6134人でした。
1級、2級共に女性の合格者が増加し、1級はデータの残っている2003年度以降で最多となる、488人が合格しました。2級の女性比率も、昨年に続いて最多の9.7%を占める597人でした。
参考:国土交通省|令和元年度建築施工管理技術検定「実地試験」(1級・2級)合格者の発表
1、2級 土木施工管理技士の合格者数と合格率の推移
近年は公共投資が安定していることもあり、土木施工管理技士の受検者数は、他資格と比べると多い1万人前後で安定しています。
1級の受験者数は2万4688人で、合格率は45.3%。前回比で約10ポイント増加しました。合格者数は1万1190人で、実数にして1669人の増加。過去10年間で最多でした。
2級の受験者数は2万6469人、合格率は47.6%で、過去10年で最高の水準です。
また、女性の受検者・合格者も増加し、1級の女性比率は、データの残っている2003年以降で、最も高い、8.0%でした。また、2級の女性合格者は同最多となる1446人でした。
参考:国土交通省|令和元年度 1 級土木施工管理技術検定「実地試験」の合格者の発表
参考:国土交通省|令和元年度2級土木施工管理技術検定の合格者を発表
1、2級 電気施工管理技士の合格者数と合格率の推移
老朽化した建物の改修工事や、省電力化・自動化などで需要がある電気施工管理技士。
今回の検定は、1級の受験者は8114人、2級が5297人で、どちらも昨年比減。7割以上が電気関係の建設会社からの受験者でした。
合格率は、1級2級ともに6割を超え、他の資格と比べると高い水準となりました。2級の合格率は61.3%で、これは国土交通省がデータを公開している過去7年間で最も高い合格率となります。合格者数は1級が5382人、2級が3249人でした。
女性の割合は1級が全体の1.5%で83人、2級が4.4%で144人と少なく(2003年以降で最多)、男性の割合が多いことがわかります。
参考:国土交通省|令和元年度電気工事施工管理技術検定「実地試験」(1級・2級)合格者の発表
1、2級 管工事施工管理技士の合格者数と合格率の推移
管工事施工管理技士の検定試験の受験者数は、1級が1万0431人、2級が1万0602人で、受験者数は、土木に次ぐ多さとなりました。
前年対比で受験者数が増加した影響で、1級の合格者数は1500人増えて5492人となりました。合格率は変わらず、前年と同水準の52.7%となりました。
2級は合格者、合格率ともに横ばいでしたが、女性の合格者が2003年以降で最多となる415人となりました。女性が全体に占める割合は、8.5%となりました。
1級、 2級ともに、約9割が建設業関係の受験者でした。他の資格に比べると、公務員・独法や建設コンサルタント関係者の受験も目立ちます。
参考:国土交通省|令和元年度管工事施工管理技術検定「実地試験」(1級・2級)の合格者の発表
1、2級 電気通信工事施工管理技士の合格者数
ネットやモバイル回線の増設、5Gの普及などで、電気通信工事が増加したことから、専門の施工管理技士の需要が高まり、約30年ぶりに、新資格「電気通信工事施工管理技士」が創設されました。合格者は、電気通信工事において、専任技術者や主任技術者、監理技術者を務めることができます。
電気通信工事には、専門の「施工管理技士」の資格がなかったので、経験者が厳しい実務要件をクリアして、監理技術者を務めていました。しかし、工事件数の増加などから人手不足の懸念があり、資格が創設されました。
試験区分は他の資格と同じく、「学科試験」と「実地試験」の2つで、要件は既存種目と同じです(資料参照)。
初回の合格者数は、1級が2860人で全体の49.5%、2級が2007人で全体の57.1%でした。
1級の合格者は大卒が55.6%、高卒が28.4%で、40代がほぼ半数を占めました。性別は99.4%が男性、6.0%が女性でした。2級は1級に比べ20代の合格者の比率が高くなりました。
参考:国土交通省|令和元年度 電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級)合格者の発表
(資料)電気通信工事施工管理技士の受験資格
上記実務経験年数のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていることが必要です。
上記実務経験年数のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていることが必要です。
(ハ)電気通信事業法(昭和59年法律第86号)による電気通信主任技術者資格証の交付を受けたものであって、同種目に関し指導監督的実務経験1年以上を含む6年以上の実務経験を有する者 ※交付後ではなく、通算で所定の実務経験を有する者
(注1) | 3年以上の実務経験のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数を含み、かつ、専任の監理技術者による指導を受けた実務経験年数2年以上を含む。 |
(注2) | 受検資格(ロ)及び(ニ)(ホ)の2級電気通信工事施工管理技術検定合格後の受検資格については、令和元年度は該当しない。 |
(注3) | 8年以上の実務経験のうち、1年以上の指導監督的実務経験年数を含み、かつ、5年以上の実務経験の後、専任の監理技術者による指導を受けた実務経験年数2年以上を含む。 |