建設業界主要企業の中間決算 (2021年3月期第2四半期決算)

建設業界主要企業の中間決算 (2021年3月期第2四半期決算)

今回のWAT REPORTでは、総合工事業(大手・準大手・中堅ゼネコン11社)と管工事、電気工事、通信工事サブコン、エンジニアリング専業、ユーザー系プラントエンジニアリングの主要各社の2021年3月期第2四半期(2020年7~9月)決算について、各社の有価証券報告書、決算短信等に基づいてレポートを取りまとめました。

今期の概要
2021年3月期上期には、世界経済が、新型コロナウイルス感染症拡大により急速に悪化しました。日本においては感染の波が落ち着くと同時に、ウイルス感染に配慮した上での経済活動が再開され、政府によるGoto EatキャンペーンやGotoTravelキャンペーン等の景気刺激策により、消費に関しても若干の持ち直しも見られました。
しかし、経済が新型コロナ感染拡大前の水準に戻るのは当分先になる可能性もあります。
建設業界においては、着工済みの工事に対する新型コロナの影響は限定的でした。一方、東京五輪開催を見据えてきた建設工事が端境期に入っていることに加え、民間企業が設備投資に慎重になっていることから、会社によっては小口案件を中心に受注が低迷しました。労務・資機材の需給は安定的に推移し、官公庁工事は堅調でした。
海外では、国によっては感染症の動向により、工事の継続に支障をきたしているところもあり、特に東南アジア地域では連結業績の低下要因となりました。

大手ゼネコン4社の2021年3月期第1四半期決算

今期は大手ゼネコン4社すべてが前年同期比で減収しました。純利益も3社がマイナスでした。
業績の前年同期比(大手ゼネコン)
新型コロナの感染拡大は、工事の進捗にはさほど影響を与えなかったものの、民間建築の受注が伸び悩み、売り上げが低下。東京五輪の開催前に集中した工事の需要が端境期にあることから、採算の良い案件が減少、利益率も減少しました。
海外では、新型コロナの感染拡大で現場を工事の継続を見据えた人員確保や建機のリース料で、稼働していない現場の出費がかさみ、施設運営などにも支障があったため、連結ベースの利益に悪影響となりました。
1.大手ゼネコン
また、鹿島建設と大成建設の2社が業績予想を発表しました。
鹿島は期初の予想よりも売上高が上振れすると予想しました。同社は土木事業の利益率の向上と、大型物件の引き渡しにより、売上総利益が過去最高でした。大成建設も売上高と純利益を上方修正しています。2.大手ゼネコン_業績予想業績予想の修正は、以前出した予想と比べ、売上高(10%以上)、営業利益(30%以上)、経常利益(30%以上)、当期純利益(30%以上)のいずれかの差があった場合に行います。判明したタイミングでの修正となるため、決算発表時期の公表が多くなります。

大手ゼネコン4社を合計した、2021年3月期上期の決算進捗率は表の通りです。
売上高は50%以下ですが、営業利益が49.8%、経常利益が53.0%となっており、全体的に予想通りかやや進捗しています。
②決算の進捗率_大手ゼネコン

準大手ゼネコン10社の2021年3月期第1四半期決算

今期の準大手ゼネコンの決算では、前年同期比増収が3社し、純利益は全ての会社が減収となりました。
業績の前年同期比(準大手ゼネコン)
新型コロナの影響を正確に測ることは難しいにしろ、全体的に工事の端境期に入った影響が見られます。
前田建設工業の売上高は前年同期比26.9%となっており、これは、前年に連結した前田道路による規模拡大の影響で、利益面では約97億円ののれん償却が差し引かれています。安藤・間は工事の進捗により利益が増加しました。
3.準大手ゼネコン
4.準大手ゼネコン_業績予想
②決算の進捗率_準大手ゼネコン
準大手ゼネコンの業績を合計した2021年3月期上期の進捗率は、大手に比較すると達成に遠い傾向でした。
大手では5割を超えていた売上高が46.1%、利益も予想を下回る結果でした。

中堅ゼネコン11社の2021年3月期第2四半期決算

中堅ゼネコンの決算業績は、前年同期比で売上高がプラスの会社が4社、マイナスが5社。純利益では、プラスが4社、マイナスが5社と分かれる結果になりました。
業績の前年同期比(中堅ゼネコン)
各社の売上高を見ると、いずれも増減幅が小さく、おおむね前年同期と変わらない結果でした。
飛島建設、淺沼組は完成工事高の減少などで減益しました。
5.中堅ゼネコン
通期の業績予想の変更をした会社はなく、2021年3月期通期の業績予想に対する全体の進捗率は、売上高・各利益ともに4割以上5割未満の状況です。
②決算の進捗率_中堅ゼネコン

電気工事サブコン8社の2021年3月期第2四半期決算

電気設備工事サブコン8社の業績は、前年同期比で多くの会社が売上高・各利益がマイナスとなりました。民間の設備投資が延期・凍結されたケースもあり、今期の業績に影響しています。
業績の前年同期比(電気工事サブコン)
最大手の関電工は大規模案件が完了した反動で減収となり、きんでんは情報通信工事が増加したものの一般電気工事が減少して微減しました。
一般工事の受注に新型コロナの影響があったものの、関電工は大型の再生可能エネルギー発電所やケーブルテレビ施設のリニューアル工事などの受注が堅調で、ユアテックも電力工事が増加しました。
6.電気工事サブコン
通期の業績予想の変更をした会社は3社で、トーエネックは経常利益を上方修正、ユアテックは新型コロナの影響が見通せず未確定としていたところ、売上高・各利益ともに前年度比でプラスとなる予想としました。
7.電気工事サブコン_業績予想

管工事サブコン6社の2021年3月期第2四半期決算

管工事サブコン6社の今期の決算業績では、多くの会社が前年同期比で売上高減となりました。一方、純利益はプラスが4社、マイナスが6社となりました。
業績の前年同期比(管工事サブコン)
各社とも増減幅が大きく、新型コロナの影響による悪化が目立ちます。産業・ビル空調の発注が国内外で減少し、改修工事の中止や規模縮小も影響しました。

業界最大手の高砂熱学工業は、当期純利益が前年同期を65.8%下回りました。産業・ビル空調の発注が国内外で減少し、改修工事の中止や規模縮小も影響しました。一方、ダイダンは原価の低減などで利益を確保し増益しました。
8.管工事サブコン
業績予想では、ダイダンと日比谷総合設備の2社が通期予想を変更しました。ダイダンは前回予想よりも経常利益を6.1%上方修正し、日比谷総合設備は経常損益を17.4%上方修正しました。
9.管工事サブコン_業績予想

通信工事サブコン3社の2021年3月期第2四半期決算

今期の通信工事サブコン大手3社の決算は、協和エクシオ、ミライトホールディングスの2社が増収増益となりました。
業績の前年同期比(通信工事サブコン)
通信事業者からの受注が前年に続き非常に好調で、全国的に工事の受注が増えています。
今後も5G(第五世代通信規格)の普及を背景に、継続的な成長が見込まれます。
コムシスホールディングスは、社会システム関連事業の受注減が業績の足を引っ張りました。
10.通信工事サブコン
業績予想では、好調な決算を背景に、ミライトホールディングスが通期売上高を2.3%増の4450億円、営業利益を4.5%増の230億円、純利益を3.2%増の160億円に上方修正しました。
11.通信工事サブコン_業績予想

エンジニアリング専業3社の2021年3月期第2四半期決算決算

エンジニアリング専業3社の第2四半期決算は、3社ともに減収しました。利益面では、千代田化工建設が増収しました。
業績の前年同期比(エンジニアリング専業)
各社は、新型コロナの国内における影響は比較的軽微であると報告していますが、海外事業においては、現地の労働力確保や渡航制限、物流の乱れや工事の遅延などで、プロジェクトの遂行に影響が出る可能性があります。
千代田化工は、事業が順調で、純利益は通期予想に対して83%の進捗率となりました。
12.エンジニアリング専業

ユーザー系プラントエンジニアリング企業1社の2021年3月期第2四半期決算

ユーザー系プラントエンジニアリング企業として、決算報告書を公開しているレイズネクストの今期決算は、保全・定期修理で全体的な工事量が増加し、利益も順調に伸びました。純利益は61.2%減となっているところ、前年度の負ののれん発生益を除くと15.4%の増加となっています。
業績予想では、通期の売上高を下方修正、各利益は15%程度上方修正しました。
プラントメンテナンス分野では、今季は定期修理工事の4年サイクルのピークにあたるため、案件も多く、感染症対策をした上で施工に取り組むとしています。
13.ユーザー系プラントエンジニアリング企業
14.ユーザー系プラントエンジニアリング企業_業績予想

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